遺伝子組換え生物を用いた実験について

 動物施設内は、遺伝子組換え生物の拡散防止措置(P1A,P2Aレベル)がとられています。
 これにより、研究者は施設内で遺伝子改変動物の作製や飼育ができます。



実験開始のための手続き

 動物施設内で遺伝子改変動物を作製・飼育する場合は、下記ページを参照し、熊本大学遺伝子組換え生物等第二種使用等安全委員会が開催する教育訓練講習への出席等、必要な手続きを済ませてください。

[参考ページ]
 遺伝子組換え実験を実施するためには、以下の法律を理解し遵守する必要があります。


遺伝子組換え実験に関する法律

国際的な取り決め

 遺伝子組換え生物を用いた実験を行うにあたっては、「カルタヘナ議定書」という国際的条約を遵守しなければなりません。
 「カルタヘナ議定書」とは、地球上の生物の多様性を保全するための条約であり、現代のバイオテクノロジーにより作製された遺伝子組換え生物(Living Modified Organism: LMO)の利用が生物多様性に悪影響を与えることを防止する措置についても規定しています。

 アメリカを除くほぼ全世界の国々がカルタヘナ議定書に署名し批准しています。

国内の法律

 日本国内では、以下の法律等により生物の多様性を確保しています。
 これらの法律等には、研究室外に遺伝子組換え生物が拡散することを防止するための具体的措置(拡散防止措置)について明記されています。
  1. 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律
  2. 研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令
  3. 研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令の規定に基づき認定宿主ベクター系等を定める件




遺伝子組換え実験の区分

 上記の国内の法律に照らしあわせると、遺伝子改変動物を使用する実験は、以下の”動物使用実験”にあたります。
 ”動物使用実験”は、さらに動物作成実験と動物接種実験に分かれます。
 遺伝子改変動物(Tgマウスなど)の作製や使用は動物作成実験に含まれ、単に遺伝子改変マウスを飼育するだけでも動物作成実験となります。




拡散防止措置

 動物作成実験においてとるべき拡散防止措置は、遺伝子改変動物の宿主と核酸供与体により異なります。
 核酸供与体はその病原性や伝播性によりクラス分けされ、それを元に拡散防止措置が決まります。動物実験における宿主は”動物”であり、”動物”はクラス1に分類されています。




 以下の表を参考に、とるべき拡散防止措置(P1A~P3A)が決まります。
 動物を宿主とするほとんどの実験はP1Aレベルの措置で問題ありませんが、核酸供与体が下図①〜⑥に あたる場合は、大臣確認やP2A,P3Aレベルの措置が必要となります。
 ("大臣確認"とは、学内の委員会ではなく文部科学大臣が、執るべき拡散防止措置について確認しなければならない事を意味します)


 熊本大学の動物施設がとっている拡散防止措置はP1A,P2Aレベルであり、ほとんどの遺伝子改変動物を使用した実験を施設内で実施することができます。


参考文献:遺伝子改変マウスにかかわる遺伝子組換え実験申請 鈴木操 2007 日薬理誌 129, P.320~324

 遺伝子組換え実験について不明な点があれば、遺伝子実験施設にご連絡ください。



拡散防止措置が講じてある飼育エリア

P1Aレベル

 本館:4階をのぞく飼育室すべて ->見取り図
 新館:すべての飼育室 ->見取り図


P2Aレベル

 本館4階の飼育室 ->見取り図

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