精巣上体尾部の低温輸送
材料
- 成熟雄マウス
- ハサミ 解剖用(夏目製作所 小直剪刀 Cat.No.B-12)
- ピンセット 解剖用(夏目製作所 尖鋭ピンセット Cat.No.A-45)
- オートクリップアプライヤー(日本ベクトン・ディッキンソン Cat.No.427630)
- オートクリップ(日本ベクトン・ディッキンソン Cat.No.427631)
- 麻酔薬
- ヒーター
- ボタン型温度記録計(KNラボラトリーズ 温度データロガー サーモクロンGタイプ)
- 0.2 mL チューブ(冷蔵保存液入り)
- CARD冷蔵輸送キット
- 綿
- 紙箱
- 魔法瓶
- 保冷剤(小)
- 保冷剤(大)
- 発泡スチロール箱
方法
片側精巣上体尾部の採取
術前に、全ての解剖器具をアルコール消毒する。1 雄マウス(12週齢以上)に麻酔をかけ、あお向けにする。
2 陰嚢周辺をアルコール綿で消毒する(消毒後、陰嚢が膨れていない場合は、精巣が腹腔側にずれている可能性があるので、下腹部を指で軽く押して、精巣を陰嚢内に戻す)。
3 片方の陰嚢を切開し、精巣上体尾部を体外に露出させる。
4 精管と精巣上体体部を切断して、精巣上体尾部を採取する。(尾部に付着した血液や脂肪を完全に除去しなくても、輸送に影響は無い)
[採取された精巣上体尾部と脂肪塊]
*精巣上体尾部は、その内部に細い管(精巣上体管)が複雑に折りたたまれている構造をしている。
よく観察し、他の臓器と間違えないよう注意する。
*精巣上体尾部は、その内部に細い管(精巣上体管)が複雑に折りたたまれている構造をしている。
よく観察し、他の臓器と間違えないよう注意する。
[麻酔下における精巣上体尾部の採取]
ポイント:尾部を引き出すときは、尾部に付着した脂肪塊をつまんで操作し、 尾部を傷つけないようにする。
精巣を体内に戻すときは、切開した筋層をつまんで操作し、精巣を傷つけないようにする。
精巣を体内に戻すときは、切開した筋層をつまんで操作し、精巣を傷つけないようにする。
5 切開した皮膚をオートクリップで止める(縫合糸でも代用可能)。
*2個の精巣上体尾部を摘出する場合は、3~5の手順でもう片方も同様に採取する。
6 ヒーターの上にマウスをあお向けに寝かせ、麻酔から覚醒するまで保温する。
*片方の精巣上体尾部を摘出した場合は、術後1週間に雌マウスと交配させることが可能である。
精巣上体尾部の冷蔵輸送
1 冷蔵庫から0.2 mL チューブ(冷蔵保存液入り)を取り出し、採取した精巣上体尾部を保存液中に沈めて、0.2 mL チューブのフタ部分をパラフィルムで巻く。2 紙箱に0.2 mL チューブおよびボタン型温度記録計を入れ、綿をかぶせてフタをする。
3 魔法瓶に紙箱を入れる。
4 魔法瓶に保冷剤(小)を2個入れる。
5 魔法瓶のキャップを締める。
6 キャップをしっかり締めたことを確認後、発泡スチロール箱の中に保冷剤(大)を敷き、魔法瓶を入れる (このとき、魔法瓶の中の0.2 mL チューブが、逆さまにならないように気をつける)。
続いて、両サイドおよび上部に保冷剤(大)を入れ、発泡スチロール箱のフタをガムテープでしっかり固定する。
7 宅配便で発送するまで、発泡スチロール箱ごと冷蔵庫内で保管する。
8 宅配便(冷蔵)で発送する(最大72時間保存可能)。
更新履歴
- 更新: 2013.03.06 尾部入り紙箱と保冷剤を魔法瓶に入れる順序が以前とは逆になりました。魔法瓶の奥に紙箱を置くことで、外気温の温度変化を受けにくいようにしました。旧ページはこちら。